攻撃性は遺伝子で見分けられるか? 遺伝子検査キットたぶん無し

攻撃的性格と遺伝
この記事は約6分で読めます。

【この記事には広告(PR)が含まれていますが、自分の経験と調査に基づき真摯に書いています】

最近、あおり運転で、逮捕される人が、続出していますが、最近、逮捕された、M崎容疑者を映像で見ていると、車から出てくる瞬間、犬が、猛烈に吠えているように、毎回見えるんですよね。あれ、犬だよなーって思うんです。正直。

こういう攻撃的な人たちに、たまに会いますが、たぶん、遺伝子でタイプ分けできるだろうなと思いました。

私の予想では、攻撃性を調べる遺伝子キットは売っていないと思いますが、できるなら、サイコパス的な人たち、冷酷な上司とか、の攻撃性に関連する遺伝子を一度チェックしてみたいなと思ったりします。

攻撃性は遺伝子で見分けられるか? 遺伝子検査キットたぶん無し

まず、攻撃性に関する遺伝子について調べたところ、こんなことが分かりました。簡単にまとめました。

[box class=”blue_box” title=”攻撃性に関する遺伝子”]

  • 脳内物質のノルアドレナリン、セロトニンとドーパミンの量、バランスが大事。
  • セロトニン受容体遺伝子、MAOA遺伝子、MAOB遺伝子が攻撃性に関連している。
  • MAOAは主にノルアドレナリンとセロトニンのバランスを調整し、MAOBはドーパミンの調整をつかさどる(2)
  • ヒトの攻撃性にはセロトニンシステムが関連、(セロトニンが多すぎる場合でも少なすぎる場合でも攻撃性が増す)(1)
  • セロトニン受容体1B(5-HTR1B)遺伝子に関しては、6種類の遺伝子型がある (1)
  • テストステロン(男性ホルモン)とセロトニンとの相互作用が攻撃行動に影響を与える (1)
  • ドーパミン受容体D4(DRD4)遺伝子の多型と攻撃性との関連、MAOB変異型はドーパミンが処理されず増える (1)
  • MAOB遺伝子型に関しては、T199C多型が知られている (1)
  • MAOA量が少ないとヒトではブルンナー症候群のように、攻撃性が高くなる(4)

[/box]

次に、具体例を、挙げていきたいと思います。

まずは、犬の攻撃性の遺伝子の面白そうな情報を見つけました。

公開特許公報の”吠えるイヌ、吠えないイヌの選別方法”という特許 (1) 

この研究のメリットは、イヌは、ヒトと比較して複雑な認知システムを持たず、ある程度一定の環境で飼育されていることから、行動気質の遺伝学的背景を解明する上で非常に適していると言っています。

つまり、犬なので、人のような余計な社会的背景がなく、一定した、飼育環境だろうから、行動の違いは、遺伝に由来するだろうという事と思います。

結構説得力があると思います。

この特許、帯広畜産大学に関係しているのですが、ラブラドール・レトリバー(LR)の雄(136匹)を使い調べた結果、

セロトニン受容体1B(5-HTR1B)遺伝子 T955C多型およびモノアミン酸化酵素B(MAOB)遺伝子T199C多型において、遺伝子型頻度と吠え行動の有無に有意差がみられた(P<0.05)。更に、LRの雄において、5-HTR1B遺伝子T955C多型およびMAOB遺伝子T199C多型の遺伝子型の組み合わせと吠え行動を示すイヌの割合を解析した結果、5-HTR1B遺伝子T955C多型のT/T型かつMAOB遺伝子T199C多型のC型をもつイヌのうち(n=46)、吠えるイヌの割合は56.3%であったのに対し、5-HTR1B遺伝子T955C多型のT/C型かつMAOB遺伝子T199C多型のT型をもつイヌのうち(n=18)、吠えるイヌの割合は94.4.%と高い結果であった。

ちょっと、分りづらいので、表にしました。

ラブラドール・レトリバー (匹)セロトニン受容体1B(5-HTR1B)遺伝子モノアミン酸化酵素B(MAOB)遺伝子吠えるイヌの割合 (%)
遺伝子型 (SNPs)T955C多型T199C多型
46T955C多型のT/T型T199C多型のC型56.3
18T955C多型のT/C型T199C多型のT型94.4

要するに、イヌの吠え行動には、セロトニン受容体1B(5-HTR1B)遺伝子型 と モノアミン酸化酵素B(MAOB)遺伝子型の違いが関連していて、5-HTR1B遺伝子およびMAOB遺伝子が、犬の吠え方にもっとも関係しているという結論になりました。

吠える犬は、セロトニン系とMAOB遺伝子にも異常があるので、ドーパミンがですぎて、吠えやすくなっていると思います。

それから、MAOA遺伝子も攻撃性には重要です。

ノルアドレナリンやセロトニンを分解し、その量の調節を行っている酵素の1つが、モノアミンオキシダーゼ A(MAOA)です。もし、MAOAが過剰にノルアドレナリンやセロトニンを分解すると、うつ病や不安障害を引き起こしてしまいます。逆に、MAOA量が少ないとヒトではブルンナー症候群のように、攻撃性が高くなります。(4)

1993年のサイエンスの論文で、ブルナーらは、衝動的な攻撃したり、露出症、放火、レイプ未遂した、ボーダーラインの精神遅滞とアブノーマルな行動する人を対象にした研究で、問題のある男性全員が、MAOA変異型(MAOAが少ないという事)を持っており、攻撃性とMAOA異常が関連していると結論しました。ただし、MAOA異常型の女性には何の問題がなかったしています。(3)

[box class=”blue_box” title=”まとめ”]

まとめますと、攻撃性を調べるには、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンを調整する、この三つの遺伝子型から、判断できると思います:

  • セロトニン受容体遺伝子
  • MAOA遺伝子
  • MAOB遺伝子

[/box]

サイエンスの論文に、少し書いてありましたが、MAOA異常型の女性は何の問題もないとしており、攻撃性はやはり、男性の場合にもっとはっきり出で来るという事でしょうか。その辺は、テストステロン(男性ホルモン)あたりが関与しているのかとも思います。女性が凶悪犯罪を起こしたりしないのは、この辺にも関係しているような気もします。

将来的には、これらの遺伝子も、遺伝子検査キットにだんだん組み込まれていくと予想されます。

ちなみに、M崎容疑者は、当然、攻撃性の遺伝子型に当てはまると思いますが、、、

こういう遺伝子検査は実は、自分の子供とか、まだ小さいうちにしておくと、いろいろメリットがあるような気がします。他の子供をいじめてしまうとか、喧嘩ばかりするとか、もしかしたら、攻撃性の遺伝子型が原因かもしれません。早めにそれらの遺伝子型を発見して、医師の助けのもとに、薬物治療等で助けることも可能かと思います。

参考文献:

(1) 生命科学関連特許情報 公開特許公報(A)_吠えるイヌ、吠えないイヌの選別方法

(2) 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』モノアミン酸化酵素

(3) Abnormal behavior associated with a point mutation in the structural gene for monoamine oxidase A、Science  22 Oct 1993:Vol. 262, Issue 5133, pp. 578-580 DOI: 10.1126/science.8211186

(4) 社会性や情動に関する行動を制御する因子をマウスで発見

コメント

タイトルとURLをコピーしました