ゲノム編集食品
ゲノム編集技術を使った食品の厚生労働省への届出が10月1日から始まります。現在、日本国内では身の厚いマダイや血圧を低く抑える成分多いトマトなどのゲノム編集技術を使った食品の開発が進んでいます。
ゲノム編集食品はクリスパー キャス9と言う遺伝子をピンポイントで変えることができる最新技術を使ってできた食品です。
クリスパー キャス9を使うと、これまでの遺伝子組み換え食品のケースとは違って、ゲノムをいわば編集して、ゲノムのどの遺伝子の、どの場所に、100%に近い確率で、正確に切ったり繋いだりすることができます。
ゲノム編集食品の安全性
ゲノム編集食品の場合は、いままで実際に植物または動物あった遺伝子を、少しだけ変化させるだけなので、これは、これまでの農業で行われてきた品種改良とほとんど同じことなので、ゲノム編集された食品の安全性には、ほとんど問題ないという結論になっています。
例えば、美味しいお米を何十年もかけて、品種改良がおこなわれてきましたが、これも一種の、遺伝子の改良です。今は、遺伝子解読することによって、お米の遺伝子のどの部分を改良すればいいか分かっていますので、それを、クリスパー キャス9を使って、その遺伝子をちょっとだけ変えます。これまで何年もかけてきた品種改良が、ゲノム編集では1-2年で到達できるようなりました。やっていることは大体同じです。ただ時間短縮なのと、どうやって、どこを変えたかが、ゲノム編集食品の場合は、明確である。
[voice icon=”https://dnanohanashi.com/wp-content/uploads/2019/09/blanc_20190906_201628-300×293.png” name=”DNAパパ” type=”r”]僕自身も、遺伝子組み換えの納豆とか食べます。ゲノム編集食品の場合は、遺伝子が変わった分も、遺伝子組み換え食品に比べれば、かなり少ないと思われます。食品なので食べたものは、アミノ酸、脂肪や糖分に1回全部分解されて、当然、編集されたDNAも分解され、それから体に入ります。ゲノム編集したからといって、その栄養分が、人間に何か問題をあたえるという確率は、かなり低いのでないかと思います。[/voice]

出典:京都大学 京大発、「肉厚マダイ」参上 食に革命を起こすゲノム編集と安全
この写真は、ミオスタチンという筋肉を大きくさせない物質をつくる遺伝子をクリスパー キャス9によって使えなくした真鯛です。このゲノム編集真鯛を開発している会社では、食品の成分もちゃんと調べているので、もし何か危険なものがあるようなのであれば、もうその時点で分かっていると思うので、安全性についてはかなり問題ないのではないかと思います。
実際にミオスタチンの遺伝子が自然に使えなくなった状態の肉牛がヨーロッパで飼育されていて、その牛肉はヨーロッパに流通されているようです。
日本政府の対応
ゲノム編集食品には2種類あって、
- DNAを切って、いわゆる遺伝子をノックアウトして、その遺伝子を使えなくして作るゲノム編集食品
- DNAを切って、切った場所に新しく遺伝子を入れる、遺伝子をノックインするゲノム編集食品
これら、二つのゲノム編集食品があります。
特に、肉厚マダイのように、遺伝子をノックアウトして、その遺伝子を使えなくして作るゲノム編集食品DNAの場合は、自然界での突然変異や品種改良とあまり差がないので厚生労働省はゲノム編集食品を作る会社に、安全性や表示などを義務化しないと決めました。
その反面、新しい遺伝子を入れたゲノム編集食品の場合は遺伝子組み換え食品と同じように安全性とを審査しゲノム編集食品であるということを表示の義務付けるということです。
もう一つ、これはまだ決まってないようですが。農林水産省がゲノム編集食品を育てる場合にその生態系への影響がどうなのかという情報の提供を、生産する会社に求めることにするという方針です。

出典: タカラバイオ、ゲノム編集実験ハンドブック 遺伝子を使えなくするのがkNOCK-out。遺伝子を新しくいれるのがKNOCK-in。
まとめ
現在のところ、クリスパーの技術を人間に使い出すことになるといろいろ倫理上の問題とかが出てくるので、なかなかこの辺の研究は、簡単には進まないと思うんですが、農業とかの品種改良のために、味をおいしくするとか、干ばつにも耐えられるとか、その辺への、ゲノム編集の応用は、かなり早く進んでいくと思います。なぜならクリスパー キャス9のキットを買えば、ゲノム編集というのは比較的簡単にできます。ゲノム解析の情報さえあれば、誰でもできる可能性があります。製品化も、これまでような遺伝子組み換え食品の場合は5年ぐらい製品を作り出すまでにかかったらしいんですが、ゲノム編集した場合はその半分の2年とか3年ぐらいで商品化が可能です。
食べ物なので安全性への疑問はあると思いますが、すでに遺伝子組み換え食品は流通しています。最低でも。その基準にそって流通すれば良いし、もし、必要であれば食品の成分分析をすればいいだけなので、それほど製品開発にコストかからないと思われます。ということで、ゲノム編集された食品は、これから市場に、どんどん出てくると予想されます。
最後に、ゲノム編集関連のおすすめの本をご紹介いたしますので、よかったらご覧ください。
一冊目は、IPS細胞で有名なノーベル賞を受賞した京都大学の山中先生の著書。山中先生曰く”ゲノム編集技術はこの25年の中でおそらく最も画期的な生命科学技”と言っています。専門の知識がなくても簡単にゲノム編集の技術について学べる一冊です。
ジェニファー・ダウドナ氏とサミュエル・スターンバーグ氏の著書。この二人が、クリスパー キャス9を2012年にゲノム編集技術として「サイエンス」誌に発表しました。この著書は、クリスパーの第一人者がクリスパーの発見に至るまでの、研究の経緯を網羅した内容です。ゲノム編集を使った遺伝子医療の最先端を知ることができます。
ゲノム編集の技術をわかりやすく解説した一冊。ゲノム編集を使って肉の量を大量に増やした家畜や魚、または腐りにくい野菜といった食品の研究開発や ガンする免疫医療などの技術を紹介しています。


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